菊屋番頭のひとり言

「伊豆・修善寺温泉 老舗旅館 菊屋」宿屋での四苦八苦や七転八倒、喜怒哀楽・・・。            前大番頭から引継いだ文才の無い小番頭。季節の写真をまじえた迷・大奮闘紀。

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漱石と菊屋

明治四十三年八月六日 


「漱石」 やまんなぁ…こう雨じゃ…何の為の転地だかわからんなぁ…ぐぇ…すっぱい


 菊屋別荘(現 湯回廊菊屋)の玄関に腰掛つぶやく  


 あいにく、この日は 「北白川宮 様」(皇室)の貸切の為、空き部屋が無かった。


「松根」 宮内庁の松根だが、3日前に連絡を入れたはずだが!……おーいご主人!


「漱石」 まったく、なんという人生だ…胃はすっぱいし、宿屋には部屋がないし…松根君は宮様の世話で、きりきりしている…はるばる修善寺まで来て この雨…


「松根」 なんとか一部屋用意できました。


 部屋に落ち着き(現 梅の間) 夕食。


「漱石」 そういえば、長谷川辰之助君も低気圧は脳に悪いといっておったが…胃にも悪いか…


「仲居」 あら、全部…せっかくのお刺身を全然召し上がらないで…


「漱石」 刺身は胃腸に悪い。


「仲居」 生卵二つ、ご飯三膳の方が、よほど悪いですよ。


「漱石」 長谷川君という人がおってね、この人は 二葉亭ともいったんだが…


「仲居」 あら、古今亭とか三遊亭の親戚ですか?


 隣の座敷からは三味の音、仲居は後片付けをしながら話の相手を続ける。


「漱石」 茶碗なんか叩きおって…幸徳君という男がおってな…この男は外見は二葉亭とは似ても 似つかんが、その…思うところは…


「仲居」 まぁ、すごい降りよう!御覧なさい先生!山百合があんなに沢山!


「漱石」 ……                


 二葉社 「ぼっちゃんの時代」完結より


   「 蚊帳越しに、見る山寒し、杉木立。」


 この時読んだ「句」です。夏とは思えない、寒々しい句です。漱石はこの時四十三歳、ここから「修善寺の大患」が始まるのです。


                                          つづく20060511133553.jpeg  20060511133652.jpeg



 


 

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